都市部の日常風景へ向ける高木の眼差しは、現在、人類が対峙する「人新世」が抱える問題へも接続する。この時代区分は、20世紀半ばに起源をもつとされ、グローバリズムと経済的成長のために自然環境を搾取し続けてきたことに由来する。私たちは20世紀に得たことをあきらめる時代、あるいは昔のやり方に戻る時代に生きているかもしれない。この写真集では、人間と植物の共存形態の妥協点のようなものが浮かびあがると同時にそれぞれの本性があらわにもなる。天井知らずの人間の欲望が、その妥協点を超えてしまった後の世界について想像しながら鑑賞して欲しい写真集である。(明貫紘子)
【作家プロフィール】
高木康行(たかぎやすゆき)
東京生まれのフォトグラファー、映像ディレクター。
奨学金を得て、ニューヨーク・ブルックリンの美術学校 Pratt Instituteに留学し、メディアアートを学ぶ。在学中は実験映像、ビデオアート、写真などを制作。卒業後、ニューヨーク・チェルシーで、ハイエンドな商業写真を扱う現像所に勤務。そこで世界的に著名なコマーシャルフォトグラファーやアートフォトグラファーと数多く出会い、アシスタントとして同行し世界各地をまわるなど、約10年間を過ごしたのち、独立。アート写真、商業写真のフィールドでキャリアを重ね、2012年、南フランスで行われた国際写真コンテスト「27th International Hyeres Festival of Photography」でファイナリストに選ばれる。そして2014年CCNYカメラクラブ・ニューヨーク国際コンペティションでのファイナリストとなる。 ニューヨークでは、Capsule Gallery、Corridor Gallery、Lorimoto Gallery、パリではArtligue Gallery、国内では、アトリエMUJI、IMAギャラリー、第2回京都国際写真祭、21_21 DESIGN SIGHT等。国内外で展示歴がある。
ページ:98p
サイズ:250×200㎜
和綴本
執筆:Philippe Pons
デザイン:Eric Pillault
発行年:2020年
発行元:リブロアルテ